女王戴冠狙うトップ12人
クイーンズクライマックス26日開幕
2024年12月19日12:00公開
大みそかに最強女子を決めるプレミアムG1「第13回クイーンズクライマックス」が26日、愛知県・蒲郡ボートで開幕する。今年は初のナイター開催。輝く栄冠のティアラを狙う年間獲得賞金上位12人の女子トップレーサーを紹介する。
連覇めざす女王 浜田亜理沙
進化する新女王が真価を発揮して連覇に挑む―。昨年の多摩川大会で初出場Vを飾った浜田亜理沙(36、埼玉)。G1初優出で女子ビッグタイトルを手に入れたが、そのシンデレラストーリーは、まだ序章に過ぎない。今年は戸田クラシックでSG初出場し、多摩川オールスター、戸田ダービーにも参戦。オールスターでは、男子の強豪相手に予選を突破し準優(4着)も経験した。
スピードは女子トップ級でコースを不問の多彩な攻め手を備える。24年後期適用勝率では初めて女子1位になった。25年前期適用勝率は三浦永理にその座を譲ったが、それでも3期連続して7点台をキープと安定感に磨きがかかっている。
13回目を迎えるクイーンズクライマックスで過去2回制したのは松本晶恵、田口節子。連覇は田口(21年福岡、22年住之江)だけ。浜田は今回、その記録に挑む。昨年は選出順位9番目で臨んだ女子最高峰の戦いに、今年は同3番目と立ち位置は変わった。連覇に向け、初日トライアル11Rは2号艇から発進する。
愛知支部女子のエース 細川裕子
地元で悲願の女子G1タイトル奪取へ―。熟知した水面で、調整力も発揮した快速仕立てで、細川裕子(43、愛知)が栄光のヒロインを目指す。
クイーンズクライマックスは2年ぶり6回目の登場となる愛知支部女子のエースだが、過去にファイナリスト入りはない。レディースチャンピオンでは優出6回を数えるだけにまずは優勝戦進出が目標だ。
蒲郡での通算成績は出走488回、1着127回、優出15回などで出場選手中のトップ。優勝2回は三浦永理の4回、遠藤エミの3回に次ぐ3番目だ。手の内を知り尽くす走り慣れた戦いの水面が、大きなアドバンテージになる。
今年は8月の福岡レディースチャンピオンを含めて優出13回。優勝はとこなめ、住之江、尼崎の3回。女子屈指のハンドルワークはさえ渡り、道中戦でも力を見せつける。ベスト6に生き残り、地元で一気にG1初優勝へ。初のナイター開催となる大みそか決戦で、自身のボートレーサー人生に新たな歴史を刻む大輪の花を咲かせたい。
女子レーサーの最先端 平山智加
5年連続9回目の出場。この数字が示す通り、今や平山智加(39、香川)は年末に欠かせない存在になっている。
圧倒的な安定感。2017年から19年にかけての産育休期間を除けば毎年のように年間3000万円以上の賞金を稼ぎ出し、直近5年間の平均獲得賞金は4000万円を超える。デビュー18年での生涯獲得賞金は5億円超えだ。通算G1優勝は3回。中でも13年には近松賞(尼崎)で女子史上2人目の混合G1を制するなど女子レーサーの最先端を走ってきた。
13年に続く2度目のクイーン戴冠を目指す今年は、ここまで優出11回、優勝は3回。ただ、4月の多摩川オールレディースを4コースまくりで豪快に制してから美酒を味わってない。優出回数の多さに対しての決定力不足が現状の課題といえるかもしれない。
反転攻勢をかける準備は整いつつある。11月のレディースチャレンジC(下関)は5、6着スタートから劇的なベスト6入り。V戦線がもつれるほど豊富な経験がものを言うはずだ。
執念の逆転12強入り 川野芽唯
執念の逆転12強入りだった。川野芽唯(38、福岡)は賞金ランク16位で臨んだレディースチャレンジC(下関)で驚異的な粘り強さを発揮。2着以上がノルマだった6号艇での優勝戦では、大外から差して道中は3番手。ただ、諦めない。執拗(しつよう)に前の平高を追いかけ、そして最終2M。平高の旋回が少し乱れたところを突いて差し逆転の2着。わずか30センチ差で2年連続4回目のクイーンズクライマックス出場権を手中にした。
「2着を取らないと話にならないと思っていた。整備して今まで足りなかった足がきた。うれしい」と自力で年末への道を切り開き、白い歯がこぼれた。
身長164センチ。女子の平均身長が約156センチということを考えれば長身だ。一般的に小柄な方が有利とされるが、川野は旋回で体がボートから出そうになるほど傾けて高速ターンを表現している。コース不問で上位着順を並べられるのが強み。第1戦は下関同様に6号艇での勝負。そんな壁も川野なら乗り越えてしまいそうな気がする。
女子唯一のSG覇者 遠藤エミ
ボートレース界の最強女子といえば遠藤エミ(36、滋賀)で異論はないだろう。女子唯一のSGレーサーとして、年間を通じて記念戦線で走り続ける。「今年は調整が合うことが多くて結果を残せた」と話すように、ここまで優出11回、優勝4回と高位安定。レディースチャンピオン連覇も達成した。強豪男子と互角に渡り合える総合力の高さは、女子の中では規格外のレベルに到達している。
大会初制覇を決めた2017年の第6回大会は、4連勝の完全Vで締めくくった。ただ、その後は惜敗が続き、前回大会まで準優勝が4回と勝ち運に見放されている。特に前回の多摩川大会は「最終日に調整ミスしたのが反省点」と悔いが残る準優勝だった。
リベンジを期して臨む今回は初の蒲郡ナイター。これは遠藤にとって最高の舞台設定だ。「(蒲郡は)調整は合うことの方が多いし水面も広くて好きです」と楽しみが膨らむ。負の連鎖を断ち切って自身2度目の戴冠へ迷いなく突き進む。
キャリアハイの1年 渡辺優美
60日のフライング休みのため、ぶっつけ本番で挑むことになった渡辺優美(32、福岡)。今年2月のびわこレディースオールスターでタイトルホルダーの仲間入りを果たし、8月の福岡レディースチャンピオンでも優出2着と、キャリアハイの活躍を見せた。その後はフライング禍により勢いはそがれたが、気持ちで走るタイプだけにブランクを気にする必要はない。
蒲郡は10月のヴィーナスシリーズに参戦。優出こそ逃したが、節間は6勝をマークした。水面相性、調整ともに問題なく、久々の実戦でも力は出せる。握りっぷりの良さは男子顔負けの迫力があり、コーナー戦では全速ターンを繰り出す。先頭に立てば快速をアピール。高速タイムを叩き出して観衆の度肝を抜く。
クライマックスは3回目の出場となる。地元福岡開催だった第10回大会は優出5着に敗れたが、前回の多摩川大会では順位決定戦回りの悔しさを味わった。心身ともに充電は完了。悲願のG1制覇へ全力を出し切る。
今から始まるんだ 西橋奈未
優勝してもクイーンズクライマックスへの道が閉ざされていた、昨年の三国で開催されたレディースチャレンジカップ。だが今年は情勢を変えた。西橋奈未(28、福井)は選出順位5位で迎えた今年の下関大会。「挑む気持ちが昨年と全然違います」と、笑顔で語っていた。タイトル獲得はならなかったが、見事に今年の12強へ名前を連ねた。
「間に合ってほっとしたという気持ちじゃない。今から始まるんだ、そんな感覚です」と、すでに戦闘モードへ切り替えている。才能豊か、いや違う。常にターンの研究を怠らない姿勢が生み出した、素晴らしいまくり差し。すべてが流した汗と涙の結晶だからこそ、ファンの心を打つ。大けがを、F禍を、そして震災を乗り越えて今がある。
蒲郡は「印象があまりない。戦績を残せていないとはいえ、走っていないから悪い印象すらない」。先入観がないからこそ、自分を貫ける。昨年はシリーズ戦を勝ったが、あくまでも前座に過ぎない。今年は堂々と真打ちを務める。
無駄なこと一つもない 藤原菜希
昨年の三国レディースチャレンジカップが思い出される。「人生に、無駄なことなんて一つもない」。藤原菜希(38、東京)は、優勝戦を前にして、まっすぐ空を見つめた。クイーンズクライマックス出場へ優勝条件。コンマ06のスリットに夢を求めたが、はかなく消えてしまった。
そして2024年。優勝ゼロで年末へ絡んだ昨年とは違い、3Vの勝負強さを見せている。8月には福岡レディースチャンピオンでG1初優出を果たし、クライマックスの出場権は下関レディースチャレンジカップ前に手中へ収めていた。すでに頂点は、憧れでもなければ夢でもない。唯一、彼女の心の中に存在する標的となった。
4年前に受けた1年間のあっせん保留は「無駄ではない」、もちろんレディースチャンピオンの敗戦も「無駄ではない」。すべてを前へ進むエネルギーへ変換できる強さが最大の武器。08年に空手で世界を制した剛拳は、戦いの場を水上へ移し早くも15年目。今こそ、その拳で頂点を打ち砕く。
A1復帰決め完全復調 平高奈菜
上昇ムードは歴然だ。11月の三国オールレディースで2年半ぶりの優勝を飾った平高奈菜(37、香川)が、直後の下関レディースチャレンジC(G2)で優出3着。さらに地元まるがめのオールレディースでも優出3着と活躍。大一番に向け、いよいよ勢いが増してきた。
ただ、それまでは成績が振るわず、前期は勝率5.79。そして今期は5.93で2期連続でA2級に甘んじている。しかし来年1月から適用される来期勝率は6.71をマーク。指定席のA1級カムバックを決めて、完全復調モードだ。
当地は10月のヴィーナスシリーズで準優勝戦に駒を進めるなど試走はすでに終えている。ペラの調整もしっかり手の内に入れ、エンジン出しも問題ない。
クイーンズクライマックスは、20年の浜名湖大会での優勝をはじめ、準優勝3回、優出3着2回と抜群の実績を残してきた。G1ウイナーの仲間入りを果たした験のいいシリーズ。2年ぶりの大舞台。もちろん、目指すはティアラ奪還だ。
通算優勝65回の実績 海野ゆかり
デビュー32年目のベテラン海野ゆかり(51、広島)が、ラスト12番目のイスをゲット。3年ぶりの出場権をつかんだ。今年は安定感があって優出11回。5月の大村ヴィーナスシリーズ(2コース・抜き)と6月の三国ヴィーナスシリーズ(4コース・まくり)で2節連続優勝を飾っている。
逃げ一辺倒ではなく、コース不問で繰り出す攻撃力は年齢を感じさせない迫力があり、華麗なコーナーワークはアラフィフとなった今も健在だ。もちろん、卓越した調整力を持ち合わせ、エンジンは必ず仕上げてくる。豊富な経験と実績はここ一番で何よりの頼りとなるだろう。
通算優勝65回はメンバー中、断トツの1位。そのうちG1優勝は2度のレディースチャンピオン(04年の多摩川、16年の津)の2冠。クイーンズクライマックスは13年の準優勝が最高で、その後は17年の大村大会を最後にファイナル進出から遠ざかっている。まずは7年ぶりのファイナルへ。『オーラス当選』からの下克上に注目だ。
パーフェクトエリー 三浦永理
12年前。29歳の若さで初戴冠した時はテクニカルエリーと呼ばれた。3コースからのシャープなまくり差し。その思い切りの良さとテクニックは三浦永理(41、静岡)の真骨頂だった。今はどうか。さしずめ完全無欠のパーフェクトエリーとでも表現しよう。
何が「パーフェクト」なのか。完全Vを量産するわけではない。実は三浦は8年ぶりにクイーンズクライマックスに出場した昨年、そして今年もここまで(18日現在)事故率0%。2年間で538走して1度の転覆、落水もなく、F・Lなどのスタート事故も起こしていない「失敗しない女」なのだ。
その上で今年の安定感は目を見張る。1月の連続優出を皮切りに優出ラッシュ。2月のG2レディースオールスターから3節連続、そして5月から7月にかけての7連続優出など、実に28節中19優出(5V)という脅威の成績である。
11月の下関G2レディースチャレンジカップVで賞金ランク2位に浮上しトライアル1回戦1枠シードも獲得。まずは白星発進して、2度目の戴冠を目指す。
12年ぶり返り咲き 宇野弥生
この舞台には実に12年ぶりに返り咲いた。何より地元で迎えるビッグレースに宇野弥生(38、愛知)の心は熱く燃えている。
今年は序盤から歩みは順調だった。1月の津オールレディースで優出すると、2月の戸田ヴィーナスシリーズで優勝。続くびわこレディースオールスター、若松と3節連続優出した。その後、4~6月にベスト6入りはなかったが、7月の津オールレディース、9月の児島オールレディースとここまで自身年間最多タイとなる3回の優勝を重ね、賞金ランク10位でこの大会の出場切符をつかんだ。
思い切りのいい、速いスタートが一番の武器。12年の大村G2MB大賞では、コンマ10のトップスタートから鮮やかな4コースまくりで男子の強豪レーサーを倒し、タイトルを獲得したこともある。
まだ女子のタイトルはないものの、もちろん勝ち切るだけの力はある。昨年2月の当地G2レディースオールスターでも6号艇の準優でコンマ09のトップスタートを放ち、2着で優出。今回も大胆かつ的確に“私らしい”その速攻力でホーム蒲郡を盛り上げる。