最強の称号
蒲郡SGダービー注目選手の横顔
2023年10月20日6:00公開
今年で区切りの70回目となる伝統のSG「ボートレースダービー」が24日、愛知県・蒲郡ボートで開幕する(29日まで)。前年度優勝の馬場貴也をはじめ選考期間内の勝率上位者52人が頂点を競うという、まさに最強レーサー決定戦。さて、栄えあるダービージャケットに袖を通すのは―。
水面熟知、次は地元初SG 磯部誠
最高の位置で地元ビッグを迎える。磯部誠(33、愛知)は現在、賞金ランク2位。年末のグランプリ2ndステージからの出場権はもちろん、上位2人が座れるトライアル1回戦1枠シードをも狙える位置にいる。「(池田)浩二さんから『2ndからじゃないと意味がない』と言われてましたからね」。グランプリに初出場した昨年は1stから勝ち上がり、ベスト6入り(優出3着)したが、頂点を狙うには、何としても2位以上で年末決戦を迎えたい。
今年はグランドチャンピオン(徳山)で悲願のSG初制覇。9月のG1三国周年も制すなど夏場以降は上り調子だ。舞台となる蒲郡も好相性。通算優勝38回のうち、デビュー初優勝を含む8Vをマークしている。ペラの調整力やスタート力にたけている磯部だが、その中でも熟知しているのが蒲郡水面。地元ファンの熱い声援も背に、今度は地元SG初Vを狙う。
ミスター安定感 池田浩二
『ミスター安定感』とでも言うのだろうか。近況の池田浩二(45、愛知)のことだ。昨年は28節走って15優出(7V)。そして今年はここまで23節走って18優出(4V)。優出確率は驚異の78.2%という高さだ。しかも一般戦だけでなく、G1戦で優出5回、SGもクラシック、グランドチャンピオン、オーシャンカップと5節中、優出3回だから、その集中力と勝負強さは恐れ入る。
ただ、池田にとって優出を逃した5節の中に6月の蒲郡周年が入っているのが悔いだろう。得点率上位での準優進出へ、勝負をかけた予選4日目にコンマ02の勇み足。「蒲郡で切ったのは記憶にない」と池田自身にとってもよもやのフライングだった。実際、当地でのフライングは2006年周年記念の準優(1号艇)以来、17年ぶりだった。迷惑をかけたこと、そして借りは必ず返す。まずはドリーム戦3号艇から雪辱を期す池田の蒲郡ダービーは始まる。
もう一度あの気持ちを 平本真之
攻めの姿勢を貫いて平本真之(39、愛知)が地元SG初制覇を狙う。過去のSG優勝は2014年のグランプリシリーズ(平和島)、16年オールスター(尼崎)、そして21年ダービー(平和島)の3つ。「もう一度、あの気持ちを味わいたい」と達成感、充実感に包まれた2度目のダービー王へ疾走する。
「調整から攻めの合わせ方で勝負したい」とアグレッシブな走りを約束。それは身近な存在の活躍が刺激になっているからこそ。地元愛知支部の後輩である磯部誠がグラチャン(徳山)でSG初優勝など急成長し、とこなめグループのリーダー・池田浩二は今年SG戦線で優勝こそないが、優出3回。獲得賞金ランクで磯部は2位、池田は8位と上位を占める。一方、自身はグラチャンの優出はあったものの、グランプリ出場ボーダー近辺の15位。
いま愛知「第3の男」となっていることを痛感している中、現状打破! 今大会を勝って存在感をアピールし、グランプリ出場に当確ランプを点灯させる。
静岡の次世代エース 深谷知博
今回のダービー出場選手で歴代覇者は8人。その1人が深谷知博(35、静岡)だ。2020年の大村大会では予選終盤の3連勝でシリーズリーダーに躍り出ると、準優を逃げてSG初優出。再び1号艇で迎えた優勝戦も重圧を乗り越えて逃げ切った。静岡の次世代エースと期待され続けてきた中で「実力日本一」の座を一気につかみ取った。
卓越したスタート力と高いレースセンスは、その称号にふさわしい。昨年は、チャレンジカップ(鳴門)で大外6コースから道中逆転Vの離れ業。2つ目のSGタイトルを手中にし、2回目の出場となったグランプリではファイナリスト入り(5着)した。
今年は浜名湖の新春戦を5コースまくり差しでV発進するなど年間優勝4回。オールスター(芦屋)、メモリアル(福岡)とSG優出も2回あり、賞金ランクは12位。チャレンジカップ(三国)はフライング休みだけに今大会で確実な上積みを目指す。直前の福岡周年で準Vとリズムは良好。ダービー2Vへ快進撃だ。
『ガマシマ・マキ』の異名 長嶋万記
今年2月に蒲郡でのG2レディースオールスターを制した長嶋万記(42、静岡)が再び得意舞台で躍動する。優勝戦ではインからコンマ05の快速攻を決め、見事に“無冠の女王”を返上した。
『ガマシマ・マキ』の異名を取るほど蒲郡はホーム浜名湖以上の強さを誇っている。このG2をはじめ、昨年11月には自身2度目の混合戦Vなど通算優勝は5回。現在3節連続ベスト6入りという験の良さだ。
今年は2月の下関のW優勝戦から6月の江戸川オールレディースまで優勝6回をマークする活躍。安定した成績を残し、選考勝率7.34を挙げ、女子では渡辺優美と2人が実力でダービー切符をつかみ取った。長嶋は「苦手な夏場を乗り切ったので、大好きな蒲郡もこの調子で突っ走りたいですね」と目を輝かせる。
まだSGの優出はない。しかし柔軟なレース運びは強豪男子に劣らない。女子力とコース相性を生かせばシリーズを盛り上げること間違いなしだ。
愛知の次世代エース候補 吉田裕平
デビュー初Vを飾った思い出の地、蒲郡でSG初出場する吉田裕平(26、愛知)。同じ地元で開催された昨年のとこなめでのダービーには出場できなかったこともあって「蒲郡での開催が決まった時から絶対に出場したいと思って必死で頑張った」と話す。正念場の7、8月に勝率を大きくアップしてつかんだ晴れ舞台。歴戦のタイトルレーサーとの対戦に「ワクワクしている」と目を輝かせる。
今年は2月の地区選手権から全国の周年記念を転戦し、9月にはヤングダービーに参戦。着実に全国区として名前を売ってきた。もちろん、若さと勢いだけじゃない。10月の蒲郡一般戦ではダービーに向けてのペラ調整に励み、優出2着と手応えをつかんだ。このアドバンテージは必ず本番でも生きてくるはず。父は元2000勝レーサーの徳夫さん。地元愛知支部が誇る次世代エース候補が、父譲りのガッツをみなぎらせ、大舞台で輝いてみせる。
輝きを取り戻した 山口剛
昨年のグランプリトライアル2ndステージ1回戦のフライングによるペナルティーが明けた山口剛(41、広島)が、8月のメモリアルでSG復帰を果たした。結果は得点率8位で予選突破。準優は6着敗退と優出こそ逃したが、記念戦線から離脱していたブランクは一切、感じさせなかった。続く桐生67周年で通算10回目のG1制覇を達成。完全に本来の輝きを取り戻した。
この勝利で賞金ランキングも急浮上。グランプリ出場となる18位圏内が見えてきた。桐生の優勝インタビューでは「(今後のSGを)全部取る気持ちでいかないと間に合わない」と年末の大舞台へ思いをはせる。それだけに今年のダービーは“メイチの勝負駆け”。前大会は優出2着と、あと一歩のところで戴冠を逃してもいる。今回は予選突破はもちろんのこと、自身2度目のSG戴冠を目指して全力で突っ走る。
年頭から出場目標明言 岩瀬裕亮
年頭の蒲郡での正月レースを制した岩瀬裕亮(35、愛知)は「ダービーしか見ていない。1走1走、そこに向けて頑張る」と確固たる目標を掲げた。そして、とこなめのゴールデンウイークシリーズV、蒲郡68周年でも優出3着と結果を残した。「周年で優出できたことで、いいイメージで(ダービーに)行けます」と気合は十分。
2年ぶり3回目の大会出場へ万全の態勢を整えてきた。
ダービーには、苦い思い出がある。2018年に蒲郡で行われた65回大会。予選ラストの4日目11Rは、エンジン不調により欠場の憂き目に。「(予選の)最後まで走ることができなかった」と悔しさをにじませる。5年越しのリベンジへ、今度こそ「準優に乗る!」と強い意気込みで挑む。
「以前より落ち着いてレースできるし、成長したところを見てほしい」と地元ファンへのアピールも忘れない。悲願のビッグタイトル奪取に向け、不退転の決意をみなぎらせている。
理詰めのレース運び 新田雄史
同じ三重支部の看板である師匠の井口佳典を例えるなら炎。そして新田雄史(38、三重)は氷のイメージか。闘志を押し出す井口のレースに対し、新田は理詰めのレース運びでまとめてくる。常に冷静沈着であり、舞台の大きさに関係なく力を100%発揮してくるのが強みだ。
昨年の浜名湖で開催されたSGメモリアル優勝戦。白井英治とともにフライングに散り、1年間のSG除外という厳しいペナルティーを受けた。とはいえ、今回のダービーでSG復帰というプラン通りに進めてきたあたりはさすが。G1は9月から復帰を果たしているが、まだ結果らしい結果は出せていない。だがそれもダービーへ向けての助走の段階なのだろう。しばらく離れていた記念レベルのレース勘へ細かな修正を加え、再び頂点を争えるハンドルを用意してくるはず。連続Vを飾る験のいい蒲郡で、完全復活へのシナリオの1ページは開かれる。
全24場制覇へ最後のピース 峰竜太
この男が、いよいよトップステージへ帰ってくる。懲戒処分を受け、2021年のグランプリ(住之江)を最後にSG戦線から離れていた峰竜太(38、佐賀)が、1年10カ月ぶりの大舞台に登場。今年は4月の津周年を勝ち、全24場制覇へリーチをかけた。そして最後に残ったパズルのピースは蒲郡。SGで全24場制覇というドラマチックすぎるストーリーは、華のある峰ならではのシチュエーションだろう。
蒲郡は2015年のSGメモリアル、20年の65周年など過去3回、優勝戦を1号艇で迎えたが、すべて涙をのんできた。だが、挫折を乗り越えた男なら過去の辛酸は今の充実へとつなげるはずだ。すでに今年の獲得賞金額は、昨年のグランプリボーダーを軽く超えており、狙うは2ndステージシードとなる上位6選手の座。通算100V、全24場制覇、ダービー初制覇。多くの目標が、希代の天才を突き動かす。
当地26Vを誇る蒲郡の鬼 赤岩善生
「闘将」の逆襲への闘志がわき上がる。赤岩善生(47、愛知)は、優勝戦1号艇で迎えた6月の蒲郡周年で2着に敗れた。リベンジを果たす舞台は今年最大の目標としてきたこの地元ダービーだ。
ここまで年間優出14回、3Vで賞金ランクは24位。グランプリ出場へ向けては待ったなしの立場だが、直近5節では優出4回と上々のリズムに乗ってグラチャン、メモリアルに続く今年3度目のSGチャレンジ。得意のエンジン出しに一定のめどを立てたとなれば当然期待は高まる。
3年前の右足アキレス腱断裂の大けがから立ち直り、昨年6月のグラチャン(からつ)では4年ぶりのSG優出と復活をアピール。空手、柔道の有段者でもあり、格闘技で鍛えた強じんな精神力は年齢を経ても衰えることはない。「チャレンジカップには(フライング休みで)出られない。蒲郡の看板を背負って走る」。当地26Vを誇る蒲郡の鬼が、土俵際で勝負強さを発揮してみせる。
「自分に勝つしかない」 井口佳典
まずは井口佳典(45、三重)のファンに朗報を。3日のびわこ周年で途中帰郷となった腰痛は収まり、直前の多摩川周年にも出走。ダービー参戦には支障ないようだ。「年齢とともに痛みの感覚が大きくなってきた」とこぼすが、むしろ気掛かりなのは心の痛みの方。4月のマスターズチャンピオンを制し、上昇軌道に乗るかと思われたが、その後のSGはオールスター、グラチャン、オーシャンカップ、メモリアルと4戦連続で予選落ち。
「ペラ調整、エンジン出し、ターンの感覚…。何もかも分からず、もがいてます。打破するにはどうしたらいいか。こんなの初めての経験。ファンに迷惑かけて悔しくて仕方ない」
でも守りに入る気は毛頭ない。「攻めるレースを心掛ける。自分に勝つしかない」。そう、積極性こそが井口の最大の武器。チャレンジカップがフライング休みとなり、グランプリ出場は優出がノルマ。現在賞金ランク26位。ジャンプアップへ最後の勝負にかける。